私たちが毎日歩く道路には、たくさんの車が走っています。車は遠くへお出かけしたり、重い荷物を運んだりするのにとても便利な乗り物ですが、一歩間違えると人の命を奪ってしまう恐ろしい凶器にもなり得ます。「もしも車がぶつかったらどうなるんだろう?」 「ニュースでよく見る交通事故はどうやって防げばいいの?」そんな疑問を解決するために、日本の国や特別な組織が力を合わせて、車の安全性を高めるためのさまざまな取り組みを行っています。
この記事では、日本の自動車の安全を守るヒーローのような存在である「自動車事故対策機構(NASVA:ナスバ)」と、車がどれだけ安全かをテストして点数をつける「JNCAP(ジェイエヌキャップ)」について、小学生でも分かるようにやさしく解説します!スマホでもすっきりと読みやすいように、箇条書きや表をたくさん使ってズバリ単刀直入にまとめました。これを読めば、これからの「安全な車選び」や「交通事故を防ぐための大切なこと」がすべて分かりますよ!
- 【なぜ事故は起きる?】自動車事故の現状と安全対策が必要な理由
- 年間に起きる交通事故の数とケガをする人の現状
- なぜ車同士の衝突や歩行者との事故が起きてしまうのか?
- 車が安全じゃないとどうなる?重大なケガにつながる危険性
- 「自分は大丈夫」という油断が引き起こす悲しい事故
- 事故を防ぎ、被害を小さくするための「車の安全基準」の重要性
- 【命を守る仕組み】NASVAとJNCAPの役割と安全な車選び
- 自動車事故対策機構(NASVA:ナスバ)ってどんな組織?
- 自動車アセスメント(JNCAP)は「車の安全テスト」!その仕組みを解説
- どんなテストをしているの?「衝突安全」「予防安全」「子供用シート(チャイルドシート)」
- 【一覧表で比較】JNCAPの安全性能評価と「ファイブスター賞」の見方
- 私たちが安全な車を選ぶためのポイントとNASVAのサポート
- 未来の車はどうなる?自動運転や新しい安全技術への取り組み
- 記事のまとめ:みんなでつくろう!交通事故ゼロの安心な社会
【なぜ事故は起きる?】自動車事故の現状と安全対策が必要な理由
毎日、お父さんやお母さんが運転する車に乗ったり、通学路を歩いたりしている中で、どうしても避けて通れないのが「交通事故」の問題です。まずは、今日本でどれくらいの事故が起きていて、なぜ車を安全にしなければならないのか、その原因と現状から見ていきましょう。
年間に起きる交通事故の数とケガをする人の現状
日本国内では、毎日どれくらいの交通事故が起きているでしょうか。警察庁が発表しているデータによると、1年間(令和6年中)に起きた交通事故の数は29万895件にものぼります。この事故によって、2,663人の尊い命が失われ、34万4,395人もの人がケガ(負傷)をしています。
毎日約800件近くの事故が発生し、約900人以上の人が日本のどこかでケガをしている計算になります。昔に比べると、車の性能が上がったり、道路が整備されたりしたことで、亡くなる人の数はかなり減ってきましたが、それでも毎日多くの人が事故の犠牲になっているのが現状です。
参照元:内閣府「令和6年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況」
なぜ車同士の衝突や歩行者との事故が起きてしまうのか?
交通事故が起きてしまう原因は、実にさまざまです。人間が運転している以上、どうしても防ぎきれないミスや、ちょっとした油断が引き起こすことが多いのです。
事故が起きる主な原因は、以下のようなものです。
- 前方不注意(ぜんぽうふちゅうい)
運転中、スマホを見たり、脇見をしたりして、前をしっかり見ていないこと。 - 安全不確認(あんぜんふかくにん)
交差点や曲がり角で、左右や後ろに人がいないかをちゃんと確認しないこと。 - 速度超過(そくどちょうか)
スピードの出しすぎ。スピードが出ていると、ブレーキを踏んでもすぐに車は止まれません。 - 歩行者の無理な横断(むりなおうだん)
歩行者が信号を無視したり、横断歩道がない場所を急に渡ったりすること。
特に、夕方の暗くなる時間帯(薄暮時間帯)や、雨の日は視界が悪くなり、事故が起きやすくなります。また、車同士が出会いがしらにぶつかる衝突事故だけでなく、車と歩行者(道路を歩いている人)がぶつかる事故も非常に多く、歩行者が大ケガをするケースが後を絶ちません。
車が安全じゃないとどうなる?重大なケガにつながる危険性
もし、事故を起こしてしまった車が「ペラペラの薄い鉄板」で作られていたらどうなるでしょうか。想像するだけでも恐ろしいですよね。時速40キロメートルや50キロメートルで走っている車同士がぶつかると、お互いにすさまじいエネルギーがかかります。これは、建物の3階や4階から車ごと地面に真っ逆さまに落ちるのと同じくらいの強い衝撃です。もし車の安全対策が不十分だと、以下のような危険があります。
- 車がぐしゃりと潰れて、乗っている人が押しつぶされる。
- シートベルトをしていても、体が車内のガラスやハンドルに強くたたきつけられる。
- 衝突した衝撃で、車外(車の外)に投げ出されてしまう。
- ぶつかった歩行者が、車のボンネット(前側のカバー)やフロントガラスに頭を強く打ちつけて亡くなってしまう。
このように、車の「つくり」が安全ではないと、ちょっとした衝突でも乗っている人や歩行者が命を落とす、あるいは一生残るような大ケガを負うことになってしまいます。
「自分は大丈夫」という油断が引き起こす悲しい事故
「お父さんは運転が上手だから大丈夫!」「自分は今まで事故に遭ったことがないから平気!」そんなふうに思っていませんか?実は、交通事故の被害に遭う多くの人が、直前まで同じように考えていました。
- 「すぐそこまで買い物に行くだけだから、後部座席のシートベルト(またはチャイルドシート)はしなくていいや」
- 「青信号だから、車は来ないだろう」
- 「スマホの画面を1秒だけ見るくらいなら大丈夫」
こうした小さな「油断」や「思い込み」が重なった瞬間に、事故は突然やってきます。自分自身がどんなに気をつけていても、相手の車が急に突っ込んでくることもあります。
だからこそ、「万が一、事故が起きてしまったとしても、命だけは守れるようにする準備」がどうしても必要なのです。
事故を防ぎ、被害を小さくするための「車の安全基準」の重要性
交通事故による悲劇を減らすためには、次の2つのアプローチが不可欠です。
- アクティブセーフティ(予防安全)
そもそも事故を起こさないようにするための技術。自動ブレーキ(被害軽減ブレーキ)や、車線からはみ出しそうになったときに教えてくれる機能などがこれにあたります。 - パッシブセーフティ(衝突安全)
万が一事故が起きてしまったときに、乗っている人やぶつかった歩行者のケガをできるだけ小さくするための技術。頑丈な車体(ボディ)や、エアバッグ、シートベルトなどがこれにあたります。
車を新しく作るときには、法律で決められた厳しい安全基準をクリアしなければなりません。しかし、法律の基準をギリギリでクリアした車と、基準を大きく超えてもっともっと安全に作られた車では、事故のときに命が助かる確率がまったく違います。そこで、車メーカーが「もっと安全な車を作ろう!」と競い合い、私たちが「本当に安全な車」を見極めて選べるようにするための仕組みが必要になりました。その仕組みを支えているのが、NASVA(自動車事故対策機構)とJNCAP(自動車アセスメント)なのです。
【命を守る仕組み】NASVAとJNCAPの役割と安全な車選び
それでは、この記事の主役である「NASVA(自動車事故対策機構)」と「JNCAP(自動車アセスメント)」が、私たちの安全な暮らしをどのように守ってくれているのか、詳しく見ていきましょう。
自動車事故対策機構(NASVA:ナスバ)ってどんな組織?
まずは「NASVA」について紹介します。NASVA(ナスバ)の正式名称は、「独立行政法人 自動車事故対策機構(じどうしゃじこたいさくきこう)」といいます。英語の名前(National Agency for Automotive Safety and Victims’ Aid)の頭文字をとって「NASVA(ナスバ)」と呼ばれています。国(国土交通省)のグループとして、「人命を尊重し、交通事故のない、または交通事故の被害を最小にする社会をつくること」を目的に活動している、とても信頼できる特別な組織です。NASVAの仕事は、大きく分けて次の「3つの柱(安心のネットワーク)」から成り立っています。
【NASVAの3つの大切な仕事】
① 事故を防ぐ(安全な運転手や車を育てるサポート)
・バスやトラックの運転手さんが安全運転できるように指導・適性診断を行う
・安全な車を普及させるためのテストを行う(JNCAP)
② 事故から守る(被害者を助けるサポート)
・交通事故で重い後遺症(ケガのあとに残る障がい)を負ってしまった人のための専門病院を運営する
・介護が必要な被害者のご家族にお見舞い金(介護料)を支給する
③ 支える(被害者の子どもたちをサポート)
・親を交通事故で亡くしてしまった子どもたち(交通遺児)に、生活や勉強のためのお金を貸したり、相談に乗ったりする
このようにNASVAは、車を安全にすることだけでなく、不幸にも事故に遭ってしまった人たちのその後の人生を一生懸命サポートする役割も担っています。
参照元:独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)公式サイト
自動車アセスメント(JNCAP)は「車の安全テスト」!その仕組みを解説
次に「JNCAP」についてです。JNCAP(ジェイエヌキャップ)とは、「自動車アセスメント(Japan New Car Assessment Program)」のことです。「アセスメント」とは、「客観的に評価する(点数をつける)」という意味です。これは、国土交通省とNASVAが一緒になって、「今日本で売られている車は、本当に安全なのか?」を実際にぶつけてテストし、その結果をみんなに分かりやすく公開するプロジェクトです。
もし車メーカーが自分たちだけで「うちの車は世界一安全です!」と言っていても、本当かどうか分かりませんよね。また、メーカーごとにテストのやり方が違っては比べることもできません。そこで、中立な立場であるNASVAが、同じ厳しいルール(同じスピード、同じぶつけ方)でいろいろなメーカーの車をテストし、成績表を作ることにしました。これがJNCAPの仕組みです。これにより、以下のメリットが生まれます。
- 私たち(ユーザー)
どの車が本当に安全なのかをひと目で比較して、安心して車を買うことができる。 - 車メーカー
ライバル会社に負けないように「もっと安全な車を作ろう!」と技術を磨き、開発を頑張る。
結果として、日本全体の車がどんどん安全になり、交通事故で亡くなる人を減らすことができるのです。
参照元:国土交通省「自動車アセスメント(JNCAP)について」
どんなテストをしているの?「衝突安全」「予防安全」「子供用シート(チャイルドシート)」
JNCAPでは、まるで映画の撮影のように、実際の新車の中に「ダミー人形(人間にそっくりなセンサーつきの人形)」を乗せて、さまざまな実験(テスト)を行っています。テストは大きく分けて3つのジャンルがあります。
1. 衝突安全性能(しょうとつあんぜんせいのう)
万が一、車が壁や他の車にぶつかったときに、車内の人をどれだけ守れるか、また歩行者にぶつかってしまったときに相手を傷つけないようにできるかをテストします。
- フルラップ前面衝突試験
時速55キロメートルで平らなコンクリートの壁に正面衝突させるテスト。 - オフセット前面衝突試験
対向車とすれ違いざまに正面半分だけがぶつかる様子を再現したテスト。 - 側面衝突試験
車の横側に、約1,400キログラムの台車を時速60キロメートルでぶつけるテスト。 - 歩行者保護性能試験
歩行者の頭や脚を再現したダミーを、車のボンネットやフロントガラスにぶつけて、歩行者へのダメージを調べるテスト。
2. 予防安全性能(よぼうあんぜんせいのう)
事故を未然に(あらかじめ)防ぐためのハイテクな機能が、ちゃんと働くかどうかをテストします。
- 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)
前を走っている車や、歩いている人、自転車を検知して、ぶつかる前に自動でブレーキが効いて止まるかを実験します。 - 車線逸脱抑制(しゃせんいつだつよくせい)
居眠りなどで車が白線からはみ出しそうになったとき、ハンドルを自動で戻してくれる機能をテストします。 - 高機能前照灯(こうのうのうぜんしょうとう)
夜間、対向車に眩しくないようにしながら、歩行者を早く見つけられる特別なライトの性能を測ります。
3. チャイルドシートアセスメント
赤ちゃんや小さな子どもが使う「チャイルドシート」も、車と同様にぶつけるテストを行って、安全性を評価しています。
【一覧表で比較】JNCAPの安全性能評価と「ファイブスター賞」の見方
JNCAPで行われた難しい実験の結果は、数字や星(★)のマークで分かりやすく表されます。特に優秀な車には「ファイブスター賞(★が5つ)」という、最も名誉ある賞が贈られます。JNCAPがどのように車を評価しているのか、分かりやすく一覧表にまとめました。
JNCAPの安全評価とマークの見方
| 評価のランク | 星の数 | 安全性のレベルと意味 |
|---|---|---|
| 最高ランク(ファイブスター賞) | ★★★★★(5つ星) | 超安全!「衝突安全」と「予防安全」の両方で最高のAランクを獲得し、さらに事故が起きた時に自動で助けを呼ぶ装置(事故自動緊急通報装置)がついている、命を完璧に守るレベルの車。 |
| 優秀レベル | ★★★★☆(4つ星) | とても安全!衝突安全や予防安全のどちらも非常にレベルが高く、安心して家族を乗せてドライブができる車。 |
| 標準レベル | ★★★☆☆(3つ星) | 普通に安全。国の決めた安全基準をしっかりとクリアしており、一般的な運転であれば十分安全とされる車。 |
| 少し注意 | ★★☆☆☆(2つ星) | 安全のための新しい技術(自動ブレーキなど)が、少し古い、または装備されていない可能性がある車。 |
| 改善が必要 | ★☆☆☆☆(1つ星) | 最低限の法律はクリアしているものの、最新の車と比べると安全対策がかなり遅れている車。 |
このように、星の数を見るだけで、車の知識がない人や子どもでも、どの車が安全なのかがズバリ一発で分かります。お父さんやお母さんが車を買うときは、この「★5つのファイブスター賞」がついている車を選べば、最高に安心だということになります。
私たちが安全な車を選ぶためのポイントとNASVAのサポート
では、具体的に「安全な車」を選ぶにはどこに注目すればよいでしょうか。NASVAがおすすめする、車選びのチェックポイントを3つ紹介します。
- 「自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)」が搭載されているか?
- 車だけでなく、昼間や夜間の「歩行者」や「自転車」にもきちんと反応するものを選びましょう。
- 「ペダル踏み間違い加速抑制装置」がついているか?
- ブレーキとアクセルを踏み間違えて、お店のガラスに突っ込んでしまうニュースを見たことがありますよね。あの事故を防ぐ機能がついている車はとても安全です。
- 「サポカー(セーフティ・サポートカー)」マークがついているか?
- 国が「この車には安全運転を助けるシステムがしっかりついています」と認めた車には、サポカーのマーク(ロゴ)がついています。
NASVAの公式サイトでは、日本で売られているほとんどの車のテスト結果(動画や点数)を、いつでも無料で見ることができます。「自分が乗っている車、これから買いたい車はどうかな?」と、家族みんなでホームページを検索して、安全性能を確かめてみるのもおすすめです。
参照元:JNCAP(自動車アセスメント)評価結果検索ページ(NASVA)
未来の車はどうなる?自動運転や新しい安全技術への取り組み
これからの未来、車はさらに安全になっていきます。現在、国やNASVA、自動車メーカーは、以下のような「未来の安全技術」の開発と、その安全テストのやり方について話し合いを進めています。
- 自動運転(じどううんてん)
人間がハンドルやペダルを操作しなくても、システムが周りを確認して、目的地まで自動で連れて行ってくれる技術。これにより、運転手の疲れや居眠りによる事故がゼロに近づきます。 - 車と車、道路と車の通信(路車間・車車間通信)
見通しの悪い交差点で、見えないところにいる車や歩行者の存在を、電波を使って車同士が教え合うシステムです。 - AI(人工知能)による危険予測
車に搭載されたカメラとAIが、「物陰から子どもが飛び出してくるかもしれない」という危険を事前に予測し、ドライバーに警告したりスピードを落としたりします。
JNCAPも、これらの未来の技術に対応するために、毎年テストのやり方をアップデートしています。時代に合わせて安全の基準をどんどん厳しくしていくことで、日本の車は世界トップクラスの安全性を保ち続けているのです。
記事のまとめ:みんなでつくろう!交通事故ゼロの安心な社会
最後に、この記事で学んだ大切なポイントをおさらいしましょう!
- 交通事故は毎日日本中で起きていて、たくさんのケガ人が出ている。
- 「自動車事故対策機構(NASVA)」は、車の安全テストだけでなく、事故の被害に遭った人を一生懸命サポートする優しい組織。
- 「JNCAP(自動車アセスメント)」は、実際の新車をぶつけて安全性をテストし、点数や「ファイブスター賞」として発表する仕組み。
- 安全な車を選ぶことは、大切な家族や、道路を歩く周りの人たちの「命」を守ることにつながる。
車がどれだけ進化して安全になっても、最後にハンドルを握る運転手の優しさや、道路を歩く私たちのマナーが一番大切です。「車が守ってくれるから大丈夫」と過信するのではなく、車に乗る人は「安全運転」、歩行者は「左右をしっかり確認して横断歩道を渡る」という、当たり前で大切なルールをみんなで守っていきましょう。
お父さんやお母さんが次の車を選ぶときは、ぜひ一緒にNASVAの「JNCAP」の成績表をチェックして、「★5つのファイブスター賞の車がいいね!」と話し合ってみてくださいね。みんなのちょっとした関心と優しさが、交通事故のない安心で温かい未来の社会をつくっていきます。